2012年12月23日日曜日

「お父さんはソウル大卒なのに、どうしてうちはこんなに貧しいの?」





朝鮮日報 記事入力 : 2012/12/23 09:05
http://www.chosunonline.com/site/data/html_dir/2012/12/23/2012122300104.html

自力では中産階級になれない韓国の30代    
「お父さんはソウル大卒なのに、どうしてうちはこんなに貧しいの?」

 大企業で課長を務めるキム・ミンジェさん(39)はある日、息子(8)から衝撃的な質問を受けた。
 息子の比較対象はキムさんの兄だった。
 40代後半に差し掛かったキムさんの兄は、ソウルにある私立大学を卒業し、中堅企業に入社した。
 1990年代半ばにソウル市江南区の大規模マンションを購入、今では役員への昇進を控えており、年俸も高い。

 キムさんは同期の中で昇進が最も早い方で、年俸も決して少ない方ではないが、兄のように豊かに暮らすことは「まず無理だ」と思っている。
 特にキムさんが幼いころから中産層の象徴として憧れてきた「江南の中型・大型マンションの購入」はすでに諦め、年々高騰する伝貰(チョンセ=高額の保証金を預け、運用益で家賃が不要になる韓国独特の住宅賃貸制度)金にあえいでいる。
 親の承諾なしに恋愛結婚したキムさんは、伝貰金として2億6000万ウォン(約1900万円)を支払い、ソウル市江南区開浦洞の家を借りたものの、伝貰金の半分は借金が占めている。
 来年初めにはさらに5000万ウォン(約370万円)を借りる羽目に陥るかもしれない。
 最近、伝貰金が3億ウォン(約2200万円)を超えているからだ。
 キムさんは
 「小さいころは、いつも兄の悪口を言っていたが、今では社会進出が7-8年遅いという理由だけで生活水準に大きな開きが出てしまう。
 息子からこんなことまで言われて、なんだか社会が恨めしい」
と苦しい胸のうちを明かした。

 もちろん397世代(1970年代に生まれ90年代に大学に通った現在の30代)の中でもキムさんは、かなり恵まれている方だ。
 2000年を前後して社会進出を果たした397世代のうち、大多数は不動産価格の高騰のため、マイホームを準備できずにいる。
 最近では伝貰金が高騰し「レンタプアー(高騰する伝貰金のため膨大な借金を抱える人)」になるなど借金に苦しめられている人は少なくない。
 専門家たちは397世代について「親の助けなしには中産層入りができなくなった初の世代」と指摘する。

自力で中産階級になれない初の世代

 2000年代の初めごろは、しっかりした職場さえあれば、自力でソウル市内にマンションを購入できた。
 2002年のソウル市内の専用面積59平方メートル型のマンションは平均価格が1億8849万ウォン(現在のレートで約1380万円、以下同じ)で、当時30代の平均年俸である3000万ウォン(約220万円)の6倍程度だった。
 しかし、現在では同じ大きさのマンションの平均価格は3億4337万ウォン(約2510万円)で、現在の30代の平均年俸である4500万ウォン(約330万円)の8倍に相当する。

 建設産業研究院のキム・ヒョナ研究委員は
 「現在の30代たちは自分の親が家を購入する過程を見て、それなりのマイホームをそれなりの場所に構えなければならないと思っている。
 しかし現実は、こうした30代の夢とは懸け離れており、絶望感を与えている」
と分析する。

 統計庁の家計金融調査によると、30代の純資産(資産から負債を引いたもの)の増加率は2.6%で、全年齢層のうち最も低い水準だ。
 20代の6.2%と50代の8.3%にはるかに及ばず、4%台の40代と60代以上よりも低い。
 統計庁の関係者は
 「他の世代よりも30代が、伝貰金のローンで相当苦労している。
 このような負担があるため、資産形成も遅れている」
と説明する。

 486世代(1960年代に生まれ80年代に大学に通った現在の40代)の中には、30代で会社を興し、大成功したケースが多い。
 大統領選挙に立候補した安哲秀(アン・チョルス)候補をはじめ、NCソフトの金沢辰(キム・テクチン)氏、ネオウイズの羅晟均(ナ・ソンギュン)氏、ネクソンの金正宙(キム・ジョンジュ)氏が代表的だ。
 しかし、30代の中にはこうした成功例が見られない。
 ベンチャー業界の関係者は
 「経済構造が安定したことで、若者が入り込める隙間がなくなってしまった」
と嘆く。

未来に対する認識が最も悲観的な世代

 こうした現実のためか、397世代は非常に悲観的だ。
 第一企画が昨年、成人男女3800人を対象に実施した「ライフスタイル調査」によると「真面目に金をためても思い通りの人生を生きることができない」という項目に、30代の59%が「そうだ」と回答した。
 これは、40-50代はもちろんのこと、20代よりも多い。

 397世代たちは自らを「3重扶養世代」と表現する。
 自分の老後のために資金を蓄えると同時に、両親の面倒を見て、さらに子どもも育てなければならないといった意味だ。
 主婦のキム・シンジョンさん(36)は
 「多分われわれの世代が親と子どもの両方を面倒見なければならない最後の世代になるだろう」
として
 「年配の方々のように自分の老後を子どもに頼るといったことが全く期待できない状況で、全ての面倒を見なければならない現実が重荷」
と語る。

 LG経済研究院でチーフ研究員を務めるパク・チョンヒョン氏は
 「30代は子どもの教育や両親の扶養など、さまざまな家庭問題について社会的共同責任を強調する考えを持っているが、これは現実的に問題を実感しているためだ」
と説明する。
 つまり「生計型進歩」というわけだ。
 最近、政界がこぞって「無償保育・無償養育」を強調するのは、今回の大統領選挙の行方を握る397世代からどれだけ票を集められるかを意識しているためとの見方だ。




朝鮮日報 記事入力 : 2012/12/23 09:02
http://www.chosunonline.com/site/data/html_dir/2012/12/23/2012122300101.html

「財テクこそ最高の価値」コツコツ貯めて派手に使う30代  



 共稼ぎの主婦、イ・ソンジョンさん(35)のクレジットカードの明細には「購入取り消し」といった記載が多い。

 ひとまず買ってみたものの、後に返品した品物だ。
 イさんは
 「子どもと一緒にスーパーへ行くと、おもちゃを買ってくれとせがまれるが、こういう時はひとまず買って、数日後に飽きが来たらそのまま包装して返品する。
 どうせ1、2回しか使わない品物は、ほとんどこのように少しだけ使って返品している」
と話した。

 イさんは育児、買い物など目的別にクレジットカードを5枚持っている。
 クレジットカードは1カ月の使用額が30万ウォン(約2万2000円)を超えると各種の割引があるため、イさんは5枚のカードを全て30万ウォンを多少超える分だけ使用する。
 イさんは
 「スーパーやカード会社では、私がブラックリストに登録されているかもしれないが、金を貯めようとすればこのくらいの厚かましさが必要」
と話す。
 イさんはこうして貯めた資金を貯金に回している。
 夫と2人で月600万ウォン(約44万円)ほど稼ぐが、半分に相当する300万ウォン(約22万円)を積立式ファンドと積立預金に分けている。
 だからといって、このような自分たちを「ケチ」だとは思わない。
 必要とあれば、資金の投入を惜しまないからだ。
 「冬の長期休暇を利用して家族と共に日本へ旅行するつもりだ。
 使うときは使うが、無駄な消費を避けながら貯金を増やし、後々余裕ある生活をしようというのが私の信念」
と話した。

397世代、最高の価値は財テク

 20代で通貨危機を経験し、30代では不動産バブルの犠牲者となった
 「アングリー397世代(1970年代に生まれ90年代に大学に通った現在の30代)」
は、過去のどんな世代よりも財テクに夢中だ。
 ハナ銀行ゴールドクラブでセンター長を務めるカン・ジヒョン氏は
 「財テクブームが起こり始めた2000年代初めは、397世代が社会進出し始めた時期と一致する」
と話す。

 第一企画が行った「ライフスタイル調査」によると、30代は財テク関連項目で「そうだ」と答えた人の割合が、全ての年齢層の中で最も高かった。
 「私は財テクをしている」という項目で33%「借り入れを頻繁に活用することも財テクだ」という項目でも33%と、高い割合を示した。
 第一企画コミュニケーション研究所でディレクターを務めるパク・ソヨン氏は
 「30代は多くの分野のうち、特に財テク部門で“そうだ”と答えた率が高かった。こ
 れまでの世代と比べると、お金に最も多くの関心を持っている世代ということができる」
と説明した。

 また、397世代は貯金の額も40代より多い。
 統計庁によると、昨年30代の家計の月平均貯金額は75万ウォン(約5万4700円)と、40代(66万ウォン=約4万8200円)より9万ウォン(約6500円)も多かった。
 仮処分所得に占める貯金の割合も、30代が23.3%と40代(19.2%)よりも高かった。

不要な消費を減らす合理的な選択

 財テクをうまくこなすためには、基本的に不要な物を買ってはならない。
 397世代の消費行動は、非常に几帳面で実用的だ。
 LG経済研究院が昨年1400人を対象に調査した結果、
 「買い物をする前に、買う品目と価格をあらかじめ決める」
 「家の大きさよりは構造と利便性を重視する」
という項目で、30代はそれぞれ51%と59%が「そうだ」と答えた。
 この割合は全ての年齢層の中で最も高い。

 だからといって、30代が「ケチ」な生き方ばかりをしているというわけではない。
 使うときは使うのだ。
 アウトレット売り場で安い服を買い、貯めた資金で電子機器を最新モデルに買い替えるといったやり方だ。
 ベイン・アンド・カンパニー・コリアのシン・ギョンジャ取締役は
 「最低価格の品物と高価な品物を同時に消費する“U字形”消費パターンが増えているが、その主役を担うのが397世代」
と評価した。
 ギリギリの生活を送る分、ブランドや外車といった自己満足できる分野には惜しまず資金を投入するというわけだ。

 LG経済研究院でチーフ研究員を務めるパク・ジョンヒョン氏は
 「大量生産と大量消費に慣れてしまったこれまでの世代と異なり、397世代は人目を気にせず、自分の欲望に向かって突き進んでいく、特化された消費階層」
と分析した。





朝鮮日報 記事入力 : 2013/01/05 10:55
http://www.chosunonline.com/svc/view.html?catid=51&contid=2013010500441

「貧乏人は一生貧乏」 ソウル大卒の若き専門職の嘆き



 昨年12月、ソウル大学のインターネットコミュニティーに、専門職に従事する卒業生の投稿が載った。
 「これだけ苦労しても、貧しさから抜け出すのは難しい。
 周囲の人たちは、専門職なら金をたくさん稼いでいるだろうと思って『おごってくれ』とたわごとを言うが、昔の医師・弁護士とは違う。
 貧困家庭出身の20-30代の専門職は金持ちになれるのだろうか」

 貧困家庭の出身ながらも自力で生計を立てられるようになった男性、いわゆる
 「ケリョンナム(小川〈ケチョン〉から竜〈リョン〉になった男〈ナム〉)」
の悲哀は続く。
 ある卒業生は
 「(現役の)専門職どころか専門職のおじいさんになっても、銀のさじをくわえて生まれてきた子どもの、爪の垢にすら劣る」
と書き込んだ。
 また「小川から竜が生まれる時代は既に終わった」という卒業生の書き込みもあった。
 ソウル大学のコミュニティーは、在学生だけでなく社会に出た卒業生も利用できる。

 ソウル大学社会学科の鄭根埴(チョン・グンシク)教授は
 「貧しい人の成功神話が少なくなったのは、韓国社会が、本人の努力で移動可能な『階級社会』ではなく、両親の財産が子どもの暮らしを左右する『身分社会』になる兆しを示しているのかもしれない」
と語った。

 しかし、こうした卒業生たちの悲観的な書き込みに同意できないという意見も多い。
 あるソウル大生は、年俸を職業選択の唯一の基準と考えるような意見を批判し
 「世の中を非難するなと言うつもりはないが、あまり憂鬱(ゆううつ)にならず、自分が得意なことをやろう。
 本を書いたり企業を引っ張ったりしている皆さんが、うまくできることは多い」
と主張した。
 「金持ちになりたくて仕事に就くわけではないのに、金持ちのつま先にも及ばないといって自暴自棄になっていいのだろうか」
という自省もあった。

 ソウル大学のある教授は
 「ソウル大学出身の専門職は、それでも上位1%以内の『選ばれた少数』だ。
 最近の地方大学出身者は、就職そのものが不可能だと叫んでいるのに、高所得の名門大学出身者のこうした訴えは、多くの人々に違和感を抱かせるだけ。
 金が第一という世の中を反映しているようで苦々しい
と語った。






【 見えない歪み 】


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