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朝鮮日報 記事入力 : 2013/01/11 14:06
http://www.chosunonline.com/site/data/html_dir/2013/01/11/2013011101361.html
教育政策の失敗が招いた韓国の休学問題
人的資源の配分が必要
韓国の大学の数は、1990年の時点では250校だったが、その後毎年増加し、2011年末には351校(専門大学〈短大に相当〉含む)に達した。
その間に、大学生の数は138万人から286万人へと2倍以上になった。このように大学と大学生の数は大幅に増えたが、青年(15-29 歳)雇用率は40%台にとどまっている。
特に「いい就職口」が増えないことで、兵役に伴う休学者22万人を含む休学者全体の数は、ここ10年ずっと90万人を上回っている。
こうした状況について、専門家らは
「低成長社会を予測できず大学を無分別に増やした政策的失敗が、休学者100万人時代の根本原因」
と指摘する。
大学と大学生の急激な増加現象は、1996年に導入された大学設立準則と深い関係がある。
この準則では、一定の基準さえ満たせば自由に大学を設立・運営できることになっている。
同制度が施行された翌年、アジア通貨危機が訪れた。
高麗大学社会学科の李名鎮(イ・ミョンジン)教授は
「大学が輩出する就職予定者は増えているが、雇用市場は狭い。
こうした人材政策上の構造的問題が、休学者を量産している」
と語った。
96年の時点で316校だった韓国の大学は、準則施行からわずか4年後の2000年には32校増えて348校(10.1%増)になり、大学生の数も193 万人から67万人増えて260万人(34.7%増)となった。
また、1996年の時点では22.3%だった休学率は、アジア通貨危機後の99年初めには 30%を超え、以来ずっと32-33%を維持し続けている。
実際、休学して英語などの語学研修や資格取得に励む大学生は
「休学こそ、就職前の切羽詰まった心境でつかむ最後の命綱」
と語る。
昨年12月11日午前10時ごろ、忠清南道牙山市にあるA大学の図書館で会った休学者のパクさん(26)は、1週間後に迫ったコンピューターの資格試験に向けて勉強していた。
同大学経営学科4年生のパクさんは、1学期に続き2学期目の休学に入っており、その間にTOEIC(国際コミュニケーション英語能力テスト)900点、漢字2級など、就職に有利となる各種の資格を取得した。
パクさんは
「家はソウルにあるが、7年前に修能(=大学修学能力試験。センター試験に相当)の点数に合わせて大学を選んだ。
牙山には大企業の系列会社が多いが、社会人生活はどうしてもソウルで送りたいので、死に物狂いで就職戦線に飛び込んだ」
と語った。
この大学では、パクさんのように自宅がソウルや京畿道内にある学生が半数以上を占める。
このうち相当数は、首都圏の大学に入れるだけの成績がなく、せめて家に近い大学へということでA大学に入学した。
休学者のキムさん(27)も、そうした学生の 1人。
キムさんは
「大学を出たら就職して結婚するものだと思っていたが、いざ大学に来てみると、就職はとても難しい。
そのため『高校までにしておけば』と後悔もしている」
と語った。
人口が約28万人に過ぎない牙山市には、A大学をはじめ五つの大学がある。
牙山市に近く人口が58万人強の天安市にも、11校の大学が設立されている。
韓国の私立大学の約20%に相当する63校は、1996年の大学設立準則導入後に設立された大学で、6校は既に韓国政府によって廃校となった。
また明信大学と成和大学の両校は、設立者の横領や内部の人事問題などにより、教育科学技術部(省に相当)から閉鎖通告を受けて2012年2月に廃校となり、乾同大学は、経営難のため2012年8月に自主廃校した。
サムスン経済研究所のキム・ドング先任研究員は
「就職難という現実や大学の数が多すぎることが、休学者100万人時代を招いた。
教育当局が10年後の社会をきちんと見通せず、人的資源の配分に失敗した場合、韓国の休学者問題は今後も続くだろう」
と語った。
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朝鮮日報 記事入力 : 2013/01/11 14:11
http://www.chosunonline.com/site/data/html_dir/2013/01/11/2013011101379.html
休学前のカウンセリング、韓国でも必要
教授との面談も義務化すべき
韓国の首都圏にある私立大学の社会学科に籍を置くチョさん(27)は、休学して3学期目になる。
チョさんは、英語のテストの点数を上げ、企業でインターンをするために休学したが、思うようにいかなかった。
チョさんは
「誰かと悩みを話し合いたいが、打ち明けられる場所がない」
と語った。
学費を払わない休学生の身分では、大学に行って教授と面談するのも容易ではなく、相談できる窓口も見当たらないからだ。
成均館大学社会学科のキム・ソクホ教授は
「『休学者100万人』が韓国社会の常識的数字になっているだけに、休学者をコンサルティング・管理するシステムが必要」
と語った。
しかし、韓国社会には休学者を管理するシステムはもちろん、休学前に十分に考えさせる制度も整っていない、という指摘は少なくない。
ソウルのある私立大学の国文学科に籍を置く休学生のチャンさん(26)は
「休学を申請するのに5分とかからなかった。
休学する前に誰かと真剣に話し合うチャンスがなかったのが残念だった」
と語った。
この大学では、大学のポータルサイトにアクセスし、わずか数回クリックするだけで休学手続きが済む。
休学者数が2万人を超える韓国の大学31校を本紙が全数調査した結果、オンライン上の手続きだけで休学が可能な大学は31校のうち26校に上った。
日本の大学ではほとんどの場合、学生が休学願を自書し、学科・専攻の主任教授の相談と教授会の決定を経てはじめて、学生の保護者に休学許可通知が送られる。
立命館アジア太平洋大学を昨年卒業したパクさん(24)は
「毎学期開かれる休学説明会に参加しなければ、休学申請書を受け取ることはできない」
と語った。
また米国のコーネル大学に通うハさん(21)は
「学業があまりに大変なので休学したが、学内のカウンセラーと相談した後、自筆の休学願にサインしてもらわなければならなかった」
と語った。
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朝鮮日報 記事入力 : 2013/01/11 14:09
http://www.chosunonline.com/site/data/html_dir/2013/01/11/2013011101375.html
海外旅行に会社設立、休学を有意義に使った学生たち
休学中にお金をためてアフリカ旅行…後に観光情報会社を設立
韓国で「休学者100万人時代」を生きる世代の最大の悩みは「就職」だった。
このうち約20万人は兵役による休学者で、ほかには両親の援助を受けて海外旅行に出掛けるケースもあるが、就職に有利となる英語などの語学学習、資格取得などに励むケースが圧倒的に多かった。
「就職が負担になる」ことを理由に休学しながらも
「自分だけが落ちこぼれるのではないか」
「就職に必要な能力や資格が得られない」
などの不安を抱えることもあった。
しかし本紙が取材した休学者の中には、休学しながら本当にやりたいことを探し、夢を実現する学生もいた。
2012年初めに仁荷大学を休学したクォン・ウンジョンさん(25)が、その一例だ。
クォンさんは
「休学する中で『自分がやりたいこと、やるべきこと』を探すようになった」
と語った。
クォンさんは2年次を終えて休学し、最初の6カ月間は事務補助の仕事をして貯金した。
この貯金で、残り6カ月はアフリカ旅行に出掛けた。
旅行先は、南アフリカ共和国やウガンダなど15カ国。
クォンさんは「アフリカに行かなければ、貧しくて病気の人々ばかりの大陸としか思わなかっただろうが、いざ接してみると、その土地独自の文化の魅力、無視できない発展の可能性などをリアルに目撃できた」
と語った。
クォンさんは、旅行中に動画撮影分野に関心を抱くようになった。広々としていて躍動感あふれるアフリカをきちんと記録するに当たっては、動画が最適だと思ったのだ。
クォンさんは韓国に戻った後「映像でアフリカ文化を紹介したい」という目標を立て、カメラの撮影技術を学んだ。
2012年初めに創業し、アフリカ旅行関連のアドバイスや企画を行うプログラムを提供している。
クォンさんは
「韓国の学生は、競争の激しい教育環境にあって、自分自身を見詰める機会があまりない。
外国には『ギャップイヤー』制度といって、高校卒業後に大学進学を先送りしてさまざまな活動に取り組むシステムがあるが、韓国も大学の休学期間を、外国のように活用すべき」
と語った。
2012年9月に休学した西江大学のハン・ドンミンさん(22)は休学期間中、各種のボランティア活動を行った。
中学・高校時代に
「大学生になったら、生活記録簿(内申に相当)に記録を残すためのボランティアではなく、純粋なボランティアをやりたい」
と考え、それを実行したのだ。
ハンさんは大学生のボランティアグループに入り、視覚障害者のための点字名刺製作プロジェクトなどを企画した。
ハンさんは
「ボランティアグループ友人たちと共に、助けを必要とする人や団体を直接訪ねるうちに、発展の可能性があり自分にとっても関心のある分野を見つけることができる」
と語った。
大学のサークルで出会ったチェ・ヨンナムさん(24)=西江大学=、ユン・ギミンさん(24)=西江大学=、イ・ヒョンホさん(26)=西江大学=、リュ・ソクチュさん(24)=世宗大学=は、創業するために2012年の2学期から大学を休学した。
チェさんらは、大企業が作ったサンプル品などを、 MT(メンバーシップトレーニング=親睦を深める集い)や新入生歓迎会など大学生が行うイベントに提供できるよう仲介を行っている。
毎朝、大学にあるオフィスに集まり、事業について話し合う。
チェさんは
「ほかの友人たちのように、TOEICなど数値に現れる資格を取得していないという不安もある」
と話しながらも「今回失敗したとしても、別の方面で創業したいという目標ができた」と語った。
アン・サンウさん(24)は、フランスの哲学者ジャック・ラカンについて学ぼうと考えて休学した。
フランス語で書かれた本を読むため、フランス語の専門学校にも入学した。関連分野の教授を直接訪ねたこともある。
アンさんは
「休学は、大学で学べない分野に触れられる良いチャンス」
と語った。
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【 見えない歪み 】
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