2013年1月13日日曜日

韓国経済の危機:ピーターパン症候群、奇形の経済構造

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朝鮮日報 記事入力 : 2013/01/13 07:27
http://www.chosunonline.com/site/data/html_dir/2013/01/13/2013011300075.html

【コラム】中小企業のピーターパン症候群

 朴槿恵(パク・クンヘ)次期大統領が当選直後から中小企業中央会を特に気に掛けている。
 経済主要5団体で最も先に訪ね、自身を「中小企業大統領」と呼び、希望を抱かせた。
 中央会の新年賀詞交換会でも祝辞でそれを確認した。

 困難な経済環境に加え、
 全企業の99%を占める中小企業が雇用の88%を支えている現実では、中小企業や小規模事業者に配慮せざるを得ない。
 しかし、経済と政治的スローガンは大きく異なる。
 そこで問い掛けたいことが幾つかある。
 中小企業大統領だと宣言すれば、大企業による横暴がおのずと消えるのか。
 大企業と中小企業の不平等は大企業だけの責任なのか。
 中小企業に対する支援策さえ講じれば、経済全体が発展するのか。
 中小企業支援を行いさえすれば、中小企業が大企業になるはしごができるのか。

 中小企業をめぐる問題は複雑だ。
 韓国と日独は生まれた環境からして異なる。
 産業資本の形成過程と大企業・中小企業の生態系が異なるからだ。
 歴代政権はいずれも中小企業問題にこだわり、選挙のたびに支援を表明したが、問題は解消していない。

 朴槿恵次期大統領は「中小企業支援がこれまで少なすぎた」と思っているかもしれない。
 しかし、中小企業は現在でも少なからず優遇されている。
 ベンチャー企業、小規模事業者、社会的企業、女性企業、個人企業などの支援に関する法令は260本ある。
 昨年1年間に中小企業支援事業が約3400件実施され、中小企業のための信用保証額は1996年の14兆ウォン(現在のレートで約1兆1600億円、以下同じ)から昨年には50兆ウォン(約4兆1500億円)を突破するまでに増えた。

 中小企業大統領の前途には真っ先に解決すべき問題が一つある。
 中小企業の「ピーターパン症候群」だ。
 中小企業がカネを稼いでも、大企業になろうとしないという笑えない現実を乗り越えることだ。
 成熟しても子どものままでいようとする中小企業が多いのは、支援が足りなかったからではない。
 むしろ過保護状態にあるので、小さいままでいた方がよいと考えているのだ。
 温情的な政策が現状を生んだ点をよく考える必要がある。
 中小企業ではなくなった瞬間、支援による恩恵が受けられなくなるのだから、誰が大企業になろうとするだろうか。
 大企業の看板を掲げた瞬間、公正取引法などの既成法令34本に縛られるのだから
 「大企業になろうとする気が知れない」
という意見が出て当然だ。

 「小さいことは美しい」というが、小さいからといって全てが美しいわけではない。
 研究開発を無視し、発注元の大企業から仕事を取るため、平日からゴルフ場は中小企業や小規模事業者の接待でにぎわっている。
 大企業から見下されることもしばしばだ。
 「工場用地を買う」と言いながら土地投機を行っているケース、世界市場に進出しようとしない国内安住派も多い。

 今年、中小企業には3兆8500億ウォン(約3190億円)の政策資金が供給される。
 昨年に比べ15.5%増額された。
 地方自治体と政府系企業も数兆ウォン(数千億円)から数十兆ウォン(数兆円)を中小企業支援に充てる。
 大切に使うべき国民の税金なのに
 「国のカネをもらっておかなければばかだ」
という中小企業のモラルハザードを懸念する声も上がっている。
 支援効果を上げるためには、技術開発企業、利益を従業員に分配する企業、特定分野で世界トップクラスの中小企業などに重点を置くべきではないか。

 むしろ「中小企業大統領」の看板を「企業大統領」に切り替えてはどうか。
 全羅道地域が遅れているからといって「全羅道のための大統領になる」とは言わないのと同じだ。
 企業を規模で分けたからといって解決できる問題ではないからだ。
 努力する企業が支援を受け、差別のない競争環境をつくり上げることこそ、中小企業が望む世の中といえる。
 そうなれば中小企業はピーターパン症候群から脱却し、大企業へと成長するのではなかろうか。





【 見えない歪み 】


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