2013年1月8日火曜日

世界第2の教育大国となった韓国:やはり教育が国を滅ぼす(2)






朝鮮日報 記事入力 : 2013/01/08 13:58
http://www.chosunonline.com/site/data/html_dir/2013/01/08/2013010801334.html

「今の韓国社会は休学を勧めているも同然」

 韓国で大学を休学している学生の8割が、大学の卒業証書より「インターンの修了証」「TOEIC(国際コミュニケーション英語能力テスト)の成績表」などいわゆる「スペック(学校の単位や語学の成績などを指す)」の方を重要だと考えていることが分かった。
 大学の卒業証書だけでは就職できない時代の到来に伴い、韓国社会に「休学者100万人時代」がやって来たわけだ。

 本紙が調査機関「オープンサーベイ」に依頼して、休学者1000人に「五つの証明書のうちどれか一つだけを選ぶとしたら、何を選ぶか」と尋ねたところ、大学の卒業証書を選んだ学生は15.1%に過ぎなかった。
 自分が通う大学の卒業証書より、
 別の能力や経験の方が重要だと考える休学者は、8割を超えた(84.9%)。
 「大企業が主宰するコンペティション(公募展)の賞状」を選んだ休学者は278人(27.8%)に上った。
 続いて「TOEICの満点の成績表」(26.2%)、さらに「大企業のインターン修了証」(24.0%)の順となった。
 大学の卒業証書は「交換留学の経験」(6.9%)よりは高かったが、5項目の中では4位にとどまった。
 休学者のチョンさん(27)は
 「大学の卒業証書というのは、ありふれた資格証に過ぎない、という認識の人が周囲にはかなり多い。
 何か他人とは異なる経歴が欲しいため、休学は今では必須だと感じている」
と語った。

 「休学せずにそのまま卒業しても、希望する企業に就職できると思うか」
という質問には、56%の休学者が「そうは思わない」と答えた。
 アンケート調査に応じた休学者の55.1%は、休学を決めた理由として「就職を控えてコンペティションやインターン、TOEICなどで能力や経験を積むため」と答えた。
 建国大学の呉聖三(オ・ソンサム)名誉教授(教育学)は
 「大学生の相当数が、大学に通うだけでは就職はとても無理だと考えており、実際、それなりの企業に就職するためには、他人よりも優れた能力・経験が要求される。
 能力・経験を積み上げることを強要する韓国社会は、事実上『休学を勧める社会』だ
と語った。



朝鮮日報 記事入力 : 2013/01/08 14:08
http://www.chosunonline.com/site/data/html_dir/2013/01/08/2013010801346.html

「就職のために休学を」 韓国で親も同調



 韓国で大学休学者が増加し始めた1990年代後半は、アジア通貨危機による「家庭の経済的理由」が休学の主な原因になっていた。
 しかし最近では、休学の最大の理由は「就職」だ。
 就職するため、大学生は少なくとも1学期間、長い場合は数年間も休学し、資格取得、英語の試験、企業コンペティション(公募展)参加など、能力開発にいそしむ。
 本紙が休学者1000人に尋ねたところ、約6割(56.1%)が
 「休学しなければ、希望する企業に就職できない
と回答した。

 京畿道のある私立大学の航空材料工学科に籍を置いているカンさん(25)=3年生=は、2012 年3月に就職準備のため休学した。
 カンさんは
 「親は最初は反対した。
 就職に成功した人の能力や資格などを見せて初めて、親が休学を許した」
と語った。
 嘉泉大学教育大学院のチェ・ジェウン教授は
 「最近は、経済的理由だけでなく、将来の計画を立てるための休学が多くなっており、具体的な目的も多様化した。
 昔は『早く卒業して就職し、家計を助けるべきだ』といわれていたが、このごろは学生だけでなく親も『やりたいことを探すため、1-2年くらい休学するのもやむを得ない』と考えている」
と語った。

 専門家や学生は、
 韓国社会が「休学を勧める社会」になった背景として、
 大学生にとって「必須」と化した「スペック(資格や活動経験)」の存在を指摘する。
 本紙が休学者1000人を対象に調査を行った結果、
 半数以上(55.1%)が、外国語学習や資格取得、インターン、語学留学など、就職に必要な能力を身に着けるために休学していたことが分かった。
 続いて、
 旅行や休養(15.2%)、
 生活費工面(11.3%)・学費工面(10.9%)という理由が挙がった。
 美容整形手術やダイエットのために休学を選んだという回答(2.4%)もあった。

 本紙取材チームが休学者100人と会い、詳細にインタビューした結果、休学者の中には就職に必要な能力を身に着けるために休学し、旅費や滞在費を自己負担して海外に「無給インターン」に出掛けるケースもあった。

 今学期休学した弘益大学土木工学科のキムさん(24)は
 「TOEIC(国際コミュニケーション英語能力テスト)や英会話など、ひたすら英語を勉強するためだけに1年間休学する予定だという。
 『TOEICの満点の成績表』が一番欲しい」
と語った。
 慶尚南道の私立大学の中国学科に籍を置くキムさん(25)は
 「このごろ、友達同士で『就職したいなら、大学に通う必要はない』という話をよくする。
 大学で学んだことは全く必要なく、英語の点数、企業コンペティション(公募展)への参加、ボランティア活動の経歴の方が重要で、休学するのは当然」
と語った。
 延世大学を休学しているアンさん(24)は
 「暑さが苦手な友人がいるが、休学して砂漠に行き、ボランティア活動に取り組んで、写真をどっさり撮ってきた。
 貿易会社の資源開発チームに入るためには、自己紹介にそのような経歴を盛り込む必要があるためだという」
と語った。

 能力開発や経験のためはなく、転学のために休学する人もいる。
 2009年に明知大学に入学したチョンさん(22)は、1年次を終えた段階で「学科が自分に合わない」と考え、1年間休学して他大学に入り直す準備をしたが、失敗して復学した。
 今学期、転学科や編入を考えて再び休学したチョンさんは
 「人生全体から見れば、1-2年程度休学して将来設計をするのは、費用ではなく投資」
と語った。
 PEET(薬科大学入門資格試験)の準備をしている釜山大学化学科のキムさん(21)は
 「大学を卒業しても、仕事がすぐに見つかるわけではない。
 休学して能力開発に取り組んだり、専門大学院への入試の準備をしたりする方が『ストレート卒業』よりもいい」
と語った。



朝鮮日報 記事入力 : 2013/01/08 13:56
http://www.chosunonline.com/site/data/html_dir/2013/01/08/2013010801329.html

【社説】「大学休学者100万人」の意味を理解せよ

 韓国の大学生298万8000人のうち、31%に当たる93万3000人が大学を休学しているという。
 大学院・放送通信大学など高等教育機関全体で見れば、
 休学者数は110万4000人に達する。
 在籍する学生の47%が休学している大学や、学生の83%が休学している学科もある。

 大学の休学者の比率は、1997年のアジア通貨危機後に30%を超え、それ以来下がることはなく、休学者の人数も90万人を下回ったことがない。
 今や大学は、5-6年かけて通うべき場所に変わってきているのだ。

 大卒者の就職率が60%に満たず、企業が提供する「安心の雇用」はなかなか増えない。
 このため、休学してTOEFL(英語を母語としない人のための英語能力試験)やTOEIC(国際コミュニケーション英語能力テスト)の成績をはじめ各種の資格、受賞実績、インターン経験、海外語学研修といった「就職に有利な能力・経験」を積み上げることが、大学生活上必須のコースになった。
 企業側でも、入社志願者にこうしたさまざまな能力や経験を要求するケースが増えており、大学生は、大学でいい成績を挙げるだけでは就職できないと信じるようになった。

 大学生の68%が、学資金貸与などで平均1300万ウォン(約99万円)程度の借金を抱えて社会に出る。
 高額の授業料や生活費を賄うため、1-2年置きに1学期休学し金を稼ぐ学生は、4人に1 人という割合だ。
 卒業後すぐに就職できず空白期間ができると、就職のチャンスを一層つかみにくくなるという危機感から、卒業を遅らせる「卒業猶予族」も多い。
 この種の休学者は、事実上の失業者でありながらも、青年失業者統計には反映されない。

 韓国の若者が経済活動を始める年齢は平均25歳で、大卒者の場合は27歳だ。
 経済協力開発機構(OECD)加盟国の平均(22.9歳)に比べ、2-4年遅く活動を始めている。
 休学者が増えれば、若者の社会参加時期は一層遅くなり、就職が遅くなれば、結婚の時期も遅れ、少子化も一層深刻になる。
 休学者の半数は生活費を保護者に依存している、という統計結果もある。
 老後が不安な親の世代は、新たな負担を抱えるという事態になっている。

 韓国の大学生は、 1970年代には16万8000人だったが、今では300万人に達する。
 96年に大学設立が自由化された後、大学生の数は100万人以上急増した。
 このとき、現在の休学者数に相当する100万人の大学生が新たに生まれた。
 先のことを考えない大学政策が、韓国社会に大きな負債を抱え込ませたわけだ。
 政策を完全に見直さなければならない。
 企業側が能力・経験や卒業時期といったものを要求するのも、賢明な採用政策とはいい難い。
 大学生の3人に1人が休学するという異常事態が、韓国そのものを異常な状態に追いやっている。
 「大学の休学者100万人」の意味は、決して単純ではない。



朝鮮日報 記事入力 : 2013/01/08 14:11
http://www.chosunonline.com/site/data/html_dir/2013/01/08/2013010801348.html

「休学しなければ入社志願書の自己紹介欄が埋まらない」
企業50社の入社志願書を調査

 「グローバルリーダーとしての資質を育てるために努力した経験について記述して下さい」(大企業のH社)

 「海外研修の経験、コンペなどの受賞経歴などを15行以内で記述して下さい」(鉄鋼メーカーH社)

 これは、昨年下半期に公開採用を実施した大企業の書類に記載されていた、自己紹介欄の指示文だ。
 休学者イさん(23)=延世大学英文学専攻=は
 「数百字以上書き込まなければならない自己紹介欄にグローバルな経験を書けというのは、語学研修や交換留学、インターンなど、どういう形であれ海外で経験を積んで来いという話に聞こえる」
と語った。
 就職準備中の学生たちは
 「各企業は自己紹介書が採用選考で最も重要だと話しており、こういう項目を埋めるためには、休学して時間や費用を投じるしかない」
と語った。

 本紙が昨年下半期に企業50社の入社志願書を分析した結果、28社(56%)が志願書に英語の成績、資格証、インターンの経歴、受賞経験、海外経験、ボランティア活動などの「スペック」を書き込む欄を五つ以上作っていた。
 三つ以上書かせる企業は39社(78%)に上った。

 最近、大企業への就職に成功したチョさん(24)は
 「入社志願書にある項目に一つでも空きがあったら、全部埋めた人に比べて低く見られるのではと心配した。
 最終的に2学期休学して、1学期は交換留学、もう1学期はインターンの経験を積んだ」
と語った。

 ある金融機関は、昨年下半期の採用計画を発表する際、志願書からスペック関連の項目をなくす代わりに「本人が読んだ人文学の図書10冊」を書く項目を追加した。
 また自己紹介書でも「文学、歴史に関する思考を通じて洞察や創意を向上させた経験」を書かせるようにした。
 同社の関係者は
 「人文学的素養や総合的な思考力を備えた、物事に広く通じているタイプの人材を選抜するため」
と語った。

 ところがこの会社も、公認の英語の成績や資格証のリストを書かせており、同社でのインターン経験やコンペ受賞経歴があれば優待する、と志願書に明示した。
 就職準備のため休学を選んだキムさん(22)=梨花女子大学言論情報学専攻=は
 「就職シーズンになると、休学せず大学に通う友人たちは、大学の成績は高いが自己紹介書に書ける事柄がなくて不安だという。
 一部の企業はスペックを見ないというが、就職準備をしている側では誰もその話を信じない」
と語った。