2013年1月31日木曜日

羅老号:冷静に見ればロシアの成功

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●   韓国から宇宙に打ち上げられ成功した初のロケット-30日午後4時、全羅南道高興郡の羅老宇宙センターから打ち上げられた宇宙ロケット「羅老号」は煙を上げて空に登っていった。羅老号は2009年と10年に2度打ち上げに失敗したが、同日の3度目の挑戦で成功した。/写真提供=韓国航空宇宙研究院


朝鮮日報 記事入力 : 2013/01/31 09:05
http://www.chosunonline.com/site/data/html_dir/2013/01/31/2013013100497.html

羅老号:冷静に見ればロシアの成功 

 羅老号は3回目の挑戦でついに打ち上げに成功した。
 相次ぐ打ち上げ延期も考えると、11回目の挑戦の末、宇宙への扉を開いた。
 次の課題は2021年に1.5トンの商用衛星を韓国型ロケット(KSLV2)で打ち上げること。
 専門家たちは
 「自力で液体燃料を使う宇宙ロケットを開発すると宣言した2002年に戻ったようだ」
と話す。
 羅老号の打ち上げ成功により韓国が成し遂げたと言えることはあまりないからだ。

 羅老号が重力に打ち勝ち宇宙へ向かう力のほとんどを担う1段目液体燃料ロケットは、ロシアから取り入れられた。
 韓国が開発したのは2段目の小型固体燃料ロケットだけだ。
 1段目のロケットはロシアが次世代宇宙ロケットとして開発しているアンガラ・ロケットの1段目と同じだ。
 アンガラ・ロケットは試験打ち上げが延期されている。
 「羅老号打ち上げはロシアのアンガラ・ロケットの試験台」と言われるのもこのためだ。

 韓国も1990年代は宇宙ロケット独自開発を推進していた。
 ロシアのロケットに目を向けたのは、98年に北朝鮮のテポドン・ミサイル発射を受け、大統領府が
 「2005年までに何としてでも宇宙ロケットを打ち上げよ」
と指示したためだ。
 その近道とされたのがロシアだった。
 チョ・ジンス漢陽大学教授(機械工学)は
 「06年からでも独自開発の方向で行っていたら、今ごろは1段目のロケットを作ってテストしていただろう」
と話す。

 韓国航空宇宙研究院は
 「1段目のロケットは開発していないが、ロシアの研究者から非公式ながら多くの技術を教えられた」
と主張する。
 羅老号のおかげで韓国が学んだこともある。
 宇宙ロケット発射場を作り、観測施設を建て、韓国の力で打ち上げ過程を最初から最後まで全て行ったということは、韓国宇宙開発史の1ページを飾るに値するものだ。
 しかしそうだとしても、やはり宇宙開発の中核は1段目の液体ロケット。
 チャン・ヨングン韓国航空大学教授は
 「米国でもロシアでも重要な技術を非公式に与えるというのはあり得ないこと」
と断言した。
 政府関係者は
 「ロシア製ロケットだとしても、とにかく打ち上げて国民に見せようとした」
と話した。

 政府が国際宇宙ステーションに行く韓国初の宇宙飛行士として大々的に宣伝したイ・ソヨン博士も、任務がない「参観人」という立場だった。
 200億ウォン(約17億円)も支払いながら、直前にロシアが宇宙船搭乗者を変更しても何も言えなかった。
 ソウル市内のある私立大教授は
 「宇宙開発は失敗から学ぶ。
 いいところだけを見せようとすれば、ごまかしをせざるを得ない」
と語った。



朝鮮日報 記事入力 : 2013/01/31 09:28
http://www.chosunonline.com/site/data/html_dir/2013/01/31/2013013100575.html

羅老号:遅れる独自ロケット開発の課題

 羅老(ナロ)号の打ち上げに2回連続で失敗して以降、韓国政府は2010年に韓国独自のロケット開発に本格的に着手した。
 2021年に重さ1.5トンの実用衛星を打ち上げることが可能な独自のロケットを開発することが目標だ。
 目標を達成するには時間がないが「過去2年間は無駄だった」との評価が聞かれる。
 このままでは10年間の曲折を経た羅老号と同様の試行錯誤を繰り返すことになりかねない。

 韓国政府は 1990年代後半に宇宙ロケットの独自開発を推進した。
 その後、98年に北朝鮮が弾道ミサイル「テポドン」を発射したことで、宇宙ロケットの打ち上げ計画を前倒しした。
 独自開発では到底間に合わないため、2002年からロシアの技術を導入した。
 結局は大統領府(青瓦台)が指示した05年から1年遅れの06 年に、ロシアからの技術移転ではなくロシアが製造した1段目ロケットをそのまま導入することが決まった。

 韓国政府は羅老号事業で航空宇宙研究院が閉鎖的な研究を行い、産業界の協力を得られなかったと判断。
 11年に同院から独立する形で韓国独自のロケット開発に向けた事業団を発足させた。
 21年までに割り当てられる予算は1兆5000億ウォン(約1260億円)だ。
 事業団関係者は
 「開発スケジュールを守るためには、予算を早期に集中執行し、ロケット開発に必要なインフラを整える必要がある」
と訴えた。

 しかし、一部のプロジェクトは予算執行率が 50%にとどまるなど遅れている。
 200人に満たないロケット研究人材も羅老号の打ち上げに駆り出された。
 独立した組織をつくったものの、人材と資金の支援が不足した形だ。
 建国大航空宇宙情報工学科の李昌鎮(イ・チャンジン)教授は
 「韓国独自のロケットを成功させるためには、韓国の大企業が参入しなければならないが、現在の予算規模では企業が参入する動機にはならない」
と指摘した。

 予算削減には羅老号の打ち上げ失敗による影響が大きかった。
 国会などが失敗に対する懲罰的な意味合いでロケット関連予算を削減したためだ。
 11年には教育科学技術部の金昌経(キム・チャンギョン)第2次官(科学担当)がロケット開発予算の削減を主張する国会に対し
 「そんなに予算を削減するというなら、いっそロケット開発をしないほうがよい」
と発言した。

 最大の問題は実験施設の建設が遅れていることだ。
 航空宇宙研究院の金承祚(キム・スンジョ)院長は
 「75トンロケットの重要部品は既に開発を完了した。
 部品をテストする実験施設がないために時間を浪費している」
と述べた。
 ある宇宙専門家は
 「世界最高の民間ロケットモデルであるスペースX社のファルコンロケットでさえ、米航空宇宙局(NASA)の技術移転を受けても9年間かかった。
 政府の強い意志と予算執行が求められる」
と訴えた。



朝鮮日報 記事入力 : 2013/01/31 09:27
http://www.chosunonline.com/site/data/html_dir/2013/01/31/2013013100572.html

北朝鮮、30年以上かけ独自ロケット技術を確立

 韓国がロケット自力開発→技術導入→ロケット輸入と10年以上も右往左往していた間、北朝鮮はロケット独自開発の道を突き進み、昨年末に衛星打ち上げ用ロケットだと主張する事実上の長距離ミサイル「銀河3号」の「打ち上げ成功」という実を結んだ。

 北朝鮮は1975年、中国とエジプトから液体燃料を使った弾道ミサイルを持ち込んだ。
 これを分解してそっくり複製する「逆設計方式」により、84年からは自力で弾道ミサイルを発射し始めた。
 98年には射程距離2500キロの3段式ミサイル「テポドン1号」を発射、多段ロケットの中核技術を確保した。
 チャン・ヨングン韓国航空大学教授(航空宇宙機械工学科)は
 「先日打ち上げられた銀河3号の1段目と2段目はテポドン・ミサイルのようだ」
と話す。
 その後、打ち上げ失敗は何度かあったが、それでもテポドン2号と改良型である銀河3号の開発を続けてきた。

 韓国もスタート時は北朝鮮とほぼ同じだった。
 78年に米軍の固体燃料ミサイル「ナイキ・ハーキュリーズ(MIM-14)」をまねた射程距離150キロの「白熊ミサイル」発射に成功した。
 しかし、韓米ミサイル指針により総推力100万ポンド(480トン)以上の固体ロケットを宇宙ロケットに使用できないことになった。
 固体ロケット技術が使えなくなったため、ロシアの液体ロケットの方に目が向けられた。
 その結果98年、北朝鮮のテポドン・ミサイル発射から遅れること14年でようやく打ち上げに成功した。


 北朝鮮のミサイル成功の前には、ナロ号の成功はなにかご霊前といったしめやかさが感じられる。
 ただ、いかに北朝鮮との差が歴然であるかを国民に知らしめただけであった。
 何しろ、成功といってもロケットの中枢はロシアのものではどうにも言い訳が立たない。
 韓国には残念ながら、見るべきものがない。
 なんとかやっとこさメンツのために打ち上げた、といったところになる。


JNNニュース




レコードチャイナ 配信日時:2013年2月1日 10時9分      
http://www.recordchina.co.jp/group.php?groupid=69013&type=0
 
韓国はロケット打ち上げ成功に浮かれるべからず
=迫る核実験で半島に危機、中国も制止できず―中国メディア


●31日、宇宙ロケット「羅老(ナロ)号」の発射に成功した韓国。羅老号は韓国とロシアの共同開発によるものだが、韓国が開発したのは2段目のみであり、韓国が大陸間弾道ミサイル技術を得たことにはならない。資料写真。

  2013年1月31日、環球網によると、韓国は30日午後、宇宙ロケット「羅老(ナロ)号」を打ち上げ、目標の軌道に入ったと発表した。
 羅老号は韓国とロシアの共同開発によるものだが、韓国が開発したのは2段目のみであり、韓国が大陸間弾道ミサイル技術を得たことにはならない。

 北朝鮮の「衛星打ち上げ」は安保理の制裁決議を受けた。
 一方の韓国は衛星の打ち上げに2度失敗し、3度目でようやく成功にこぎつけたが、何事も起こっていない。
 北朝鮮は世の中の不公平さに憤りを感じていることだろう。

 韓国と米国は軍事的同盟関係にあり、韓国には米軍が駐留している。
 基本的に単独で戦う北朝鮮は、日米韓の軍事的プレッシャーを受けている。
 北朝鮮の不安感は韓国のそれとは比べ物にならないのだ。
 朝鮮半島には北朝鮮の3度目の核実験という新たな危機が迫っている。
 中国による制止が期待されているが、その望みは薄い。
 それゆえに韓国は発射の成功を国を挙げて祝うことは控えておいた方がいい。
 韓国の北東アジアにおける安全の序列は基本的に北朝鮮と日本の間に置かれ、戦略的行動の一つ一つがその範囲の中で反響し、利害がいともたやすくひっくり返ってしまうのである。

 北東アジアにおける韓国の各方面の実力は、多くの国に受け入れられるものであるが、韓国は自身の潜在的な役割を軽視し、自らの実力を強化することに夢中になっている。
 だが、韓国の実力は、結局のところ北東アジアで単独の戦略的方向性を支えるには至らないだろう。





【 見えない歪み 】


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