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朝鮮日報 記事入力 : 2013/04/13 10:46
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www.chosunonline.com/site/data/html_dir/2013/04/13/2013041300464.html
泥沼の海外受注競争、安値受注のツケ表面化
サムスン物産は先月、大規模な海外工事受注に成功したことを大々的に広報した。
オーストラリアで鉱山を開発する「ロイヒル・プロジェクト」のインフラ工事だった。
しかし、同プロジェクトの発注元であるロイヒル・ホールディングスは、同じ韓国勢のポスコ建設とも事業発注に向けた交渉を進めていた。
サムスン物産による受注発表の直前まで、ポスコ建設は63億ドル(約6200億円)前後で受注する方向で、ロイヒル側と大詰めの交渉を行っていた。
ロイヒル・プロジェクトにはポスコ建設の親会社である鉄鋼大手ポスコが12.5%を出資していたためだ。
韓国国土交通部(省に相当)の担当者はオーストラリアに飛び、ポスコ建設が派遣した関係者と夕食会で受注の前祝いまで行っていた。
しかし、土壇場でサムスン物産が受注に乗り出し、脚本が狂った。
サムスン物産はポスコ建設より6億ドル(約590億円)安い57億ドル(約5610億円)を提示し、工事を受注した。
発注元の立場から見れば、韓国企業同士の競争関係を利用し、当初の予想価格より安値で工事を発注することに成功した格好だ。
ポスコ建設関係者は
「その価格では到底工事を進めることはできない。(サムスン物産も)後で大きな損害を受けることになる」
と指摘した。
■競合社のネガティブキャンペーンも
2011年にA社が受注したサウジアラビアでの建設工事は、当初B社が受注したと報道発表した事業だった。
しかし、A社はB社の親会社の会長が検察の取り調べを受けているという韓国国内の事情をアラビア語に翻訳し、発注先にばらまいたことから、B社からA社に発注先が変更された。
C社が昨年マレーシアで受注に失敗したプロジェクトは、発注元と契約直前まで行っていた。
しかし、D社がC社の韓国国内での財務危機や不渡り説を発注元に流し、結局D社が落札した。
C社はシンガポールでも同様の状況に直面した。
韓国のライバル企業がC社に関するネガティブなうわさを翻訳し、複数の発注元に電子メールで流したため、C社は耐え難い多くの質問を受ける羽目になった。
C社関係者は発注元に電子メール送った韓国の建設会社に厳重抗議し、騒ぎはひとまず沈静化したが、C社は大きな打撃を受けた。
4年前にシンガポールで行われた土木工事の入札は、韓国有数の建設会社E社とF社が激しい競争を展開した。
しかし、入札価格の探り合いをしていた当時、E社がF社の入札担当者をハンティングしたことで泥仕合となり、超低価格での落札につながった。
SK建設が09年3月に受注したアラブ首長国連邦(UAE)のガス圧縮施設工事は、9億ドル(約885億円)前後に入札価格が決まったが、海外メディアはそれを「衝撃的で驚くべき価格だ」と報じた。
■崩れる商道徳
大規模工事の入札で「まずは受注」式の安値受注競争は、国富の流出を招いている。
GS建設は今年第1四半期(1-3月)に海外建設事業で5355億ウォン(約466億円)の損失を出した。
その損失分があれば、出力55万キロワット級の大型複合火力発電所を建設し、21万世帯に1年間電力を供給することができる計算だ。
ある企業がダンピングを始めれば、他社も相次いで価格を引き下げるしかなくなる。
低価格で受注しても、後で黒字工事で埋め合わせられるというが、安値受注が繰り返されると、後で手を付けられない事態を招く。
特に後発業者ほど赤字覚悟の入札で市場に参入しようとする傾向があり、被害は建設業界全体に及んでいる。
ある建設会社の社員は
「安値による受注競争では、ひどいときには落札価格が予定価格の30%台半ばから後半にとどまったこともある」
と話した。
25年以上にわたり海外の現場を担当した大手建設会社の役員は
「受注できなければ、労働力や技術力、資金をどれだけ持っていても意味はない。
安値入札で被害を受けたと非難してもよいが、われわれも安値入札を仕掛けないという保証はない」
と述べた。
中堅建設会社の役員は
「2000年代半ばまでは、発注元との信頼関係に基づき工事を終えたが、現在では受注そのものが難しくなり、安値入札が横行し、収益性も低下している」
と指摘した。
別の大手建設会社役員は
「
商道徳が完全に崩壊した。
依然には暗黙の了解で、サウジアラビア、クウェート、リビアなどでは、特定業者が工事を独占したことを認め、他社に譲歩するムードがあったが、今は後発業者が低価格で殴り込みをかけてくるため、発注元もそれを利用し、価格を引き下げるようになり、結局は皆が損害を受けている」
と内情を打ち明けた。
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朝鮮日報 記事入力 : 2013/04/16 08:19
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www.chosunonline.com/site/data/html_dir/2013/04/16/2013041600478.html
サムスンエンジも多額赤字か、海外の安値受注で
サムスンエンジニアリングは、16日に発表する第1四半期(1-3月)決算に海外工事での損失を反映させる方針を固めた。
今年完成予定の米国ダウ・ケミカル工場(総工費4600億ウォン=約396億円)、サウジアラビア・アデンのアルミニウム工場(6600億ウォン=約570億円)などで出た損失が計上される見通しだ。
2件の工事では数千億ウォン(数百億円)台の損失が出ているとされ、大幅な赤字決算が見込まれる。
サムスンエンジニアリングは今年7月、アデンのアルミニウム鋳造施設(1600億ウォン=約138億円)、来年にはサウジの液化天然ガス(LNG)処理・供給プラント(2兆3000億ウォン=約1980億円)の完成を控えており、そこでも同様の損失が出た場合、さらにショックは拡大しそうだ。
海外での建設工事入札で無理な安値受注を重ねた結果、多額の損失を出すのは、GS建設に続き2例目となる。
GS建設は先週、営業損益が5355億ウォン(約461億円)の赤字という「信じられない結果」(KTB投資証券)の第1四半期決算を発表した。
同社の株価は2日連続ストップ安となり、15日には8.54%安と下げ止まらなかった。
非上場のSK建設も海外工事の原価率が最近2年間で約10ポイント上昇したため、損失引当金を8000億ウォン(約689億円)以上確保するなど、業績ショックに備えている。
SK建設は2011年に18億4400万ドル(約1780億円)で受注したサウジのガスプラント工事をめぐり、落札価格が予定価格に比べ低いため、当初から収支が厳しいと伝えられていた。
工事は来年3月に完成予定だ。
現代建設は既に海外工事の赤字解消に努力しており、昨年までに約7000億ウォン(約600億円)の損失を処理した。
クウェートの石油パイプライン工事で750億ウォン(約65億円)、アラブ首長国連邦(UAE)の石油化学プラントで600億ウォン(約52億円)の損失をそれぞれ出した。
現代建設は1990年初めにイラクのインフラ工事を完成させたにもかかわらず、未収工事代金が3億3000万ドル(約318億円)あり、2020年以降、支払いが始まれば、海外赤字事業の清算がピークを迎えるとみられる。
建設各社の事情はさまざまだが、安値受注に伴う潜在的損失は建設業界の「時限爆弾」となっている。
韓国投資証券のイ・ギョンジャ研究員によると、安値受注が相次いだ2010-11年に受注した中東の化学プラントをはじめ、その他利益率が低い可能性が高い現場に絞り込んで、各社別の受注残高を計算すると、サムスンエンジニアリングは5兆ウォン(約4300億円)、GS建設は4兆ウォン(約3400億円)、大林産業は3兆ウォン(約2600億円)、現代建設は1兆ウォン(約860億円)などと推定される。
これらの受注事業で問題が生じれば、建設業界全体が揺らぎかねない。
サムスンエンジニアリング関係者は
「新規市場に進出し、アルミニウムなど新たな分野に挑戦したところ、高い授業料を払っている格好だ」
と述べた。
GS建設、サムスンエンジニアリングなどは、損失を今回一度に反映し、発注元と協議を行い、設計変更などで損失を補う方法を探ることにしている。
国土交通部(省に相当)も
「対応に問題がある建設会社については、金融支援をストップしたり、公共工事の発注から除外したりするなど、さまざまな改善案を検討している」
と説明した。
GS建設の多額損失をきっかけとして、建設各社は安値受注競争を自制し、工事のコスト分析を徹底に行った上で、施工中の中間管理も細かく行うべきとの点で認識が一致している。
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朝鮮日報 記事入力 : 2013/04/17 08:26
http://www.chosunonline.com/site/data/html_dir/2013/04/17/2013041700464.html
海外建設事業の赤字ショック、まだ序章
韓国建設業界では、GS建設に続き、サムスンエンジニアリングも16日、第1四半期(1-3月)決算で2198億ウォン(約192億円)の営業赤字を計上し、業界の業績不安をエスカレートさせた。
今後決算を発表する建設大手各社も損失処理に同調するとみられ、建設業界の業績不安はまだ序章にすぎないとの声も聞かれる。
■完成時期に損失が表面化
GS建設もサムスンエンジも完成間近の海外プラント工事の損益を計算する過程で、予想よりも建設コストが掛かったことが判明し、第1四半期に損失を処理したため、多額の赤字が発生した。
中堅証券会社の担当者は
「海外での建設工事は、2-3年の工事期間中に毎月工事代金の入金があるが、その合計を予定コストで割り、収益見通しを立てる。
その後予定コストが上昇し、結局は当初黒字と見込んでいたものが赤字に転落したことを告白している格好だ」
と説明した。
言い換えれば、過去に処理すべき損失を一度に処理しようとするため、今回のような多額の赤字が発生したことになる。
このため、建設業界の会計処理に対する信頼性も問題として指摘されている。
証券会社のアナリストは
「予定コストをどう算定すれば、工事完了時にこんなとんでもない業績が明らかになるのか」
と疑問を呈した。
サムスンエンジがこれまで展開してきた攻撃的な海外受注も批判を浴びている。
サムスンエンジは2009年から本格的に海外でのプラント建設事業に参入し、受注競争で相次いで勝利した。
08年に12億9897万ドル(約1270億円)にすぎなかった海外建設受注額は、09年には7倍の92億9207万ドル(約9080億円)に増大。
12年には105億ドル(約1兆260億円)に達し、韓国建設業界で現代建設に続き、100億ドル(約9760億円)の大台を超えた。
昨年は米国の建設専門誌が選ぶ世界建設225社ランキングで、サムスンエンジは海外での売り上げ部門では15位に入り、韓国勢ではトップに立った。
■中東で赤字覚悟の競争
しかし、落とし穴が隠されていた。
09年にサムスンエンジが受注した工事のうち、86%が中東地域に集中していたことだ。
中東は安値受注競争が特に目立つ地域だ。
サムスンエンジは09-12年の海外建設受注額が304億ドル(約2兆9700億円)で、この期間に限れば、現代建設、GS建設、ポスコ建設、大宇建設など大手各社を抑え業界1位だった。
うち73%が中東地域での受注だった。
当時中東では大型の土木工事、建設工事が大量に発注され、サムスンエンジはサウジアラビア、アラブ首長国連邦(UAE)などで発注される工事を安値で入札し、予定価格の40%前後という価格で赤字覚悟の競争の末、落札に成功していた。
急に海外での営業を拡大したため、不足する人材や設備をかき集め、同業他社から不満の声も上がった。
ある建設会社の役員は
「サムスンエンジが攻撃的に海外営業を行い、賃金相場が急騰した。
好況時なら構わないが、現在のような景気低迷期に人材や設備をかき集めてどうしようというのか」
と皮肉った。
サムスンエンジが海外建設部門で躍進した09-12年の最高経営責任者(CEO)は鄭然柱(チョン・ヨンジュ)前社長(現在はサムスン物産副会長)と朴基錫(パク・キソク)現社長だ。
■過去の業績は幻?
サムスンエンジは、海外での業績が大きな成果であるかのように装った。
しかし、それは爆発的な事業拡大に伴う「幻」だったことが、今回の多額の損失計上で徐々に明らかになってきた。
サムスンエンジは今回、米国ダウ・ケミカルの塩素プラント(工事費4600億ウォン=約404億円)、サウジアラビア・マデンのアルミニウムプラント(6600億ウォン=約579億円)で出した3000億ウォン(約263億円)の損失を計上したと説明した。
問題はこれが終わりではないことだ。安値入札が注目を浴びたサウジアラビア・シャイバの液化天然ガス(LNG)処理・供給プラント(2兆3000億ウォン=約2020億円)の完成が来年3-6月に見込まれ、UAEやバーレーンなどで受注した工事も会計処理を控えている。
サムスンエンジは
「チェックした結果、ほかのプロジェクトは大きな支障なく進んでいる」
と説明した。
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【 見えない歪み 】
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