2013年3月21日木曜日

韓国 さらなるサイバー攻撃を警戒

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●NHKニュース



NHKニュース 3月21日 4時53分
http://www3.nhk.or.jp/news/html/20130321/k10013340531000.html

韓国 さらなるサイバー攻撃を警戒

 韓国で20日、主要なテレビ局などで社内のコンピューターが一斉に使えなくなり、韓国政府は何者かによるサイバー攻撃とみて調べるとともに、今後、さらなる攻撃の可能性もあるとみて警戒を強めています。

 韓国で、20日午後、KBSなど3つの主要テレビ局で社内のネットワークに接続していたコンピューターが一斉に使えなくなったほか、大手銀行と農協系の金融機関でも情報システムに障害が発生し、ATM、現金自動預け払い機などが使えなくなりました。
 このうちATMは2時間ほどで復旧しましたが、3つのテレビ局では一部のコンピューターのデータが消去されたほか、起動が出来なくなったコンピューターもあり影響が続いています。
 これについて韓国政府は、20日夜、記者会見で
 「コンピューターウイルスがそれぞれの会社のサーバーを通して広がり、コンピューターを起動させる機能が破壊されたとみられる。
 攻撃の主体を調査中だ」
と発表し、何者かによるサイバー攻撃とみて調査を進めていることを明らかにしました。

 韓国では過去に政府機関のウェブサイトなどが北朝鮮によるとみられるサイバー攻撃を受けたほか、今月に入って北朝鮮が国営メディアを通じて韓国へのサイバー攻撃を示唆していました。
 このため韓国政府は今回の被害についても北朝鮮による攻撃の可能性が排除できないとして、ウイルスの感染経路を調べるとともに、今後、さらなるサイバー攻撃が行われる可能性もあるとみて警戒を強めています。




朝鮮日報 記事入力 : 2013/03/21 09:33
http://www.chosunonline.com/site/data/html_dir/2013/03/21/2013032100578.html

サイバーテロ:北朝鮮による攻撃の可能性大

 20日に韓国のKBS、MBCなど主要放送局や金融機関の社内通信網がまひしたサイバーテロは、どんな勢力が起こしたものか確認されていないが、北朝鮮が実行した可能性が高いとみられている。
 セキュリティー専門家の権錫哲(クォン・ソクチョル)キューブピア代表は
 「正確な調査結果が出るまで断定できないが、これまでの状況からみて、今回の攻撃は北朝鮮の仕業である可能性が高い」
と述べた。
 専門家はまた、今回の攻撃はまだ入り口にすぎず、今後本格的なサイバー戦争が起きる可能性があると指摘した。
 北朝鮮は2009年と11年にも韓国の政府機関などを対象にDDoS(分散型サービス拒否攻撃)を起こしている。

■予告していた攻撃

 韓国政府は個人レベルで今回のような同時多発的なサイバーテロを起こすことは困難だとして、最近の状況から考えて、北朝鮮の仕業である可能性が高いとみている。

 労働新聞、朝鮮中央通信、ポータルサイト「ネナラ」など北朝鮮にサーバーがあるサイトは今月13日から14日にかけ、ハッキング攻撃を受けて接続が不可能になった。
 韓国政府幹部は当時
 「北朝鮮にサイバー攻撃が加えられたことが確認された。
 攻撃元は明らかになっていない」
と語っていた。

 北朝鮮は15日、朝鮮中央通信の論評で
 「われわれはこれ(ハッキング)を全面対決戦に入った朝鮮(北朝鮮)による強硬な措置に驚いた敵対勢力の粗末で卑劣な行為と断定する。
 決して傍観しない」
と脅していた。
 今回のハッキングは北朝鮮による脅迫から5日後に起きた。
 治安政策研究所のユ・ドンヨル上級研究員は
 「13-14日のサイバーテロは挑発の名分を積み上げるための北朝鮮の自作自演だった可能性もある。
 ハッキング元の究明には時間がかかるため、報復は難しい。
 北朝鮮はその点を狙ったのではないか。
 今回の攻撃でサイバー攻撃の能力を誇示したとも考えられる」
と分析した。

 今回のハッキングはまた、北朝鮮が強く反発してきた韓米合同軍事演習「キーリゾルブ」(11-21日)の終盤に起きた。
 高麗大のチョ・ヨンギ教授は
 「2010年の天安爆沈事件もキーリゾルブ演習の最終日(3月26日)に起きた。
 韓国の警戒心が緩む時期を選んで挑発を行うのが北朝鮮の長年の手口だ」
と指摘した。

■国家間サイバー戦争の始まり

 韓国の政府・軍当局は、北朝鮮の核・ミサイルなど大量破壊兵器だけでなく、サイバー戦能力が韓国よりもはるかに優位にある「非対称性脅威」と位置付けてきた。
 最近北朝鮮が韓国に対する脅迫を続け、追加的な挑発が予想されていた中、サイバーテロ発生の可能性は高いとみられていた。

 北朝鮮がサイバー戦を重視するのは、少ない費用と人員で大きな効果を上げることができるためだ。

 米国の専門企業が世界160カ国余りのサイバー戦能力を5点満点で評価したところ、
★.米国と中国が平均4点でトップとなったほか、
★.北朝鮮、日本、イスラエルが平均3.6点で続いた。
★.韓国は平均3.2点だった。
 米情報当局は2010年、北朝鮮の専門ハッカーの能力が米中央情報局(CIA)と同等のレベルにあると評価している。

 韓国国防研究院の孫兌鍾(ソン・テジョン)、キム・ヨンボン両博士は昨年10月の論文で
 「既に国家間の本格的なサイバー戦が始まった」
と指摘した。
 08年にはグルジアでロシアの地上軍投入と同時にグルジアの大統領室、議会、政府機関、メディアのウェブサイトがまひしたが、これはロシア軍のサイバー攻撃が原因と判明した。
 最近米国と中国は互いにサイバー攻撃の被害を受けたとして攻防を繰り広げている。