2012年12月2日日曜日
エリート階層の「コリア・エクソダス(大脱出)」は本当に起きていないのか?
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朝鮮日報 記事入力 : 2012/12/02 09:20
http://www.chosunonline.com/site/data/html_dir/2012/12/02/2012120200131.html
【コラム】コリア・エクソダス
国民的俳優のアン・ソンギやサムスングループの李健煕(イ・ゴンヒ)会長が、ある日突然、税金の低い香港やシンガポールに移民するとしたら、おそらく韓国は蜂の巣をつついたような大騒ぎになるだろう。
既得権層の愛国心が薄いことに対する激しい非難が起こり、興奮が少し落ち着いたころに、誰が国をこんな状態にしたのかと責任を追及する攻防戦が続くだろう。
ばかげた空想のように見えるかもしれないが、フランスでは実際にこのような事態が起きている。
国民的俳優のジェラール・ドバルデューがベルギーに新たな家を購入し、最高の富豪、モエヘネシー・ルイ・ヴィトン(LVMH)グループのベルナール・アルノー会長は、ベルギーの国籍を取得した。
彼らは「税金亡命」の疑惑を否定しているが、
国際金融界ではエリート階層の「フランス・エクソダス(大脱出)」を示す象徴的な事件とみている。
なぜこのようなことが起きるのだろうか。
フランスの社会党は今年5月に富裕税新設などの公約を掲げて17年ぶりに政権を取り戻した。
税金爆弾が現実化する可能性が大きくなるや、富裕層や企業家たちの脱出が始まった。
焦った社会党政府は、企業の社会福祉負担を200億ユーロ(約2兆1000億円)減らす減税政策を打ち出した。
すると、今度は昔からの社会党支持層が「だまされた」と背を向け始めた。
その結果、フランソワ・オランド大統領の支持率が低下し、党は6カ月で二分された。
実際、社会党政府が選んだ政策は過去に右派政権が推進しようとしていたものだ。
歯ぎしりして悔しがった末、再び政権を取った左派政権が、国民の断罪した右派政権の政策を借用するとは皮肉だ。
世界金融危機以降、欧州各国では左右政権の交代が多くの国で行われたが、政権交代以降も政策の変化はそれほど大きくなかった。
国家間の競争が個別政府の動きに制約を加えているためだ。
欧州を一つの経済圏として結び付けているユーロの登場は、欧州各国を終わりなき競争の舞台に追いやった。
為替相場の防御網が消えた瞬間、競争力が低下した国家は、淘汰(とうた)の道を進むしかない。
フランスも国家と企業の競争力が低下し、失業者が増加、福祉を支えることができない状況に直面している。
一方、ユーロ・ゾーン(ユーロを使用する17カ国)登場以降、
欧州の市民たちは、居住したい国を自由に選択できる「国家選択権」を得た。
国境を越えた移動の自由を保障したシェンゲン協約のおかげで、
「移民」ではなく「移住」を通じ、住みたい国を選べるようになった。
スイスの地方自治体は企業が投資誘致説明会を行うように、欧州各国を回って「住民誘致博覧会」を開催している。
最近、韓国国内では大統領選挙を前に、激しい公約合戦が繰り広げられている。
誰もが数十兆-数百兆ウォン(数兆-数十兆円)の費用の掛かるばら色の公約を振りまいている。
しかし、執権勢力は誰でも政権を握ると同時に厳しい現実に直面するはずだ。
公約を守らなければ「詐欺師」となり、やみくもに公約を推進すれば国がつぶれる可能性もある。
どちらに進むにせよ、結果は新たな政権の支持率低下や政治不安につながるだろう。
それでも不幸中の幸いといえるのは、韓国国民には「国家選択権」がないことだ。
コリア・エクソダスのようなことは起きないだろう。
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